お知らせ

2014.11.15

真剣なまなざし

いよいよカレンダーも残すところ一枚となりました。幼稚園では音楽会に向けての練習が大詰めを迎えています。どの学年も素晴らしい響きを創り出し、最高の音楽会にするよう張り切っています。
 さて、人間が覚えている一番古い記憶は3歳の頃が平均的のようです。私にとっても、3歳の頃、父と出かけたある野原の記憶が鮮明に残っています。
 その私たちの記憶の中身は月日が経つにつれて「恐ろしい」と感じた恐怖的な記憶か、「素晴らしい」と感じた感激的な記憶に二分されるそうです。
 「恐ろしい」記憶の最大の役割は、身の危険を回避することです。私が幼稚園に上がる前、たけのこ掘りに高尾山に出かけた時のことです。たけのこを探すことに夢中になり、崖のふちに進んでしまった時、「危ない」と切迫した表情の父の顔がありました。そんな父の顔を見ただけで、まさに私がしようとしていることの危険を悟ったのです。
 そして感激的な体験。大学受験で自分の受験番号を合格者の中に見出し、すぐに電話で父に報告した時、電話口で何も言わず、うれし泣きをしていた父。そのすすり泣きの響きがいまだに私の耳の奥に残っているのです。そんな「恐怖の体験」と「感激的な体験」の思い出が今の私を作り上げているのです。
 そんな父が永眠した悲しみの中で「真剣なまなざし」や「すすり泣きの響き」の子どもへの影響力を考えました。子どもたちの体験を通して、親そして大人としての熱い思いを伝えたいものです。
                           園長 安藤希與子

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